選択マーカー(1) ~ 定義 ~

 

 

バイオ系明細書に出てくる「選択マーカー」という用語について説明してみます。

Google patentで検索したところ英文特許では、

・selection marker

・selective marker

・selected marker

と表現されているようです。

 

定義

生化学辞典 第4版(東京化学同人)によると、以下のように定義されています。

選択遺伝子ともいい、かけ合わせや形質導入、形質転換などの実験において、組換え体を非組換え

体から選別するために用いられる遺伝子マーカー.大腸菌のかけ合わせでは、組換えを受けなかった

受容菌を排除するための、供与菌は保持していて受容菌にはないマーカーを指す(⇒対抗選択).選

択に用いなかった非選択マーカー(unselected marker)が選択マーカーとともに組換わる頻度から、

両者の遺伝地図上の距離が算出できる(⇒地図作製)

 

定義によると「選択遺伝子」とも呼ばれるようですが、J-PlatPatの公報全文で検索してみた結果、

特許明細書における使用頻度としては、「選択マーカー」の方が多いようです。

・選択マーカー:21447件

・選択遺伝子:4072件

・選抜マーカー:635件

・選抜遺伝子:144件

 

定義にはいろいろ書かれていますが、

要は、遺伝子が改変された細胞を選別するために用いる遺伝子のことを選択マーカーと呼びます。

 

類似の用語として、腫瘍マーカーというものがあります。

ガン検査をしたことがある人は聞いたことがあるかもしれません。

しかし、腫瘍マーカーは遺伝子ではなく癌細胞に現れる抗原(タンパク質や糖鎖)を意味していて、

この抗原により細胞の癌化を検出しています。

 

選択マーカーの「マーカー」とは「目印」意味しますが、

遺伝子改変された細胞を選別するために、選択マーカーを直接検出するという意味ではなく、

選択マーカーを細胞(またはその細胞のゲノム中に)に取り入れたことによって変化した細胞の

形質が目印となり、それに基づいて細胞を選別します。

 

細胞が選択マーカーを取り込む

選択マーカーの発現

細胞の形質変化(例えば、抗生物質耐性能の獲得)★これを検出

 

原理的には、細胞への遺伝子導入を試みたあと、

1つ1つの細胞のDNA配列を読んで選別することが可能ですが、

これでは時間がいくらあっても足りません。

 

選択マーカーを用いることで、

DNA配列を読み取ることなく目的の遺伝子改変細胞を選別することができます。

 

ただし、細胞(またはその細胞のゲノム中に)に選択マーカーを導入しただけでは

選択できるようにはなりません。

次に、選択の種類を説明します。

 

選択マーカー(2) ~ ポジティブセレクションとネガティブセレクション ~

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